チベットのタンカ(仏画)です。曼荼羅とは密教で考えられている世界の在り様を絵柄で表したもので、悟りの境地が示されていると言われています。
本品は、17世紀古手のタンカです。中央に描かれるのは蓮の花。その中央に位置する大日如来の慈悲が伝わるさまを表しており、胎蔵界曼荼羅と分類されます。母親が胎児を慈しみ育てるように、仏が大悲の徳をもって私達衆生の心の中に本来具わる仏性(菩提心)を育て、あたかも蓮の種が芽をふき、華開き、実を結んでゆくように、悟りの世界へ導いてゆくようすを図絵化しています。時代のある仏画ですが、保存状態が良く、しっかりと絵筆、色彩が残っています。