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江戸中期、古丹波の壺です。
幅28cm、高さ26cmほどの壺で、丸く張った胴に、短く立ち上がる口縁を備えています。大きすぎず、小さすぎず、床や棚、玄関先などにも置きやすい寸法で、古陶の力をしっかりと感じさせる一品です。
口縁の一部には、杓を掛けるためと思われる欠き込みがあります。古信楽の壺にも時折見られるもので、単なる破損ではなく、水や液体を扱う道具として使われてきた痕跡と見ることができます。その対面側の口縁には大きな欠けがありますが、この壺においては、それもまた景色の一部となっています。
胴には、窯中で生じた自然釉が激しく掛かり、白く流れる灰、黒褐色の焼け、赤みを帯びた土肌が複雑に重なっています。丹波焼は日本六古窯のひとつに数えられ、壺、甕、擂鉢などの日用器を中心に焼かれてきました。窯中で灰が降り、土と火によって自然釉が生まれる中で、数々の名品も残されています。本品は端正な名品然とした壺ではありませんが、正面に現れた白い流れは力強く、火と灰の働きをよく伝えています。口縁の欠けや窯傷の数々、胴に残る擦れは、ことさらに直されることもなく、そのまま捨て置かれています。傷を傷として咎めず、道具として使い込まれてきた器ならではの佇まいがあり、完品とは別の唯一無二の美しさを見せています。
傷の多い壺ですが、不思議と花を呼ぶ器です。枝物や野の花をざっくりと入れると、欠けや自然釉の荒々しい景色が花を受け止め、整いすぎない美しさを見せてくれます。端正な完品とは異なる、使われてきた時間そのものを楽しむ古陶です。
古い陶器のため、口縁には杓用と思われる欠き込み、大きな欠け、胴には擦れ、窯傷、自然釉の剥落、土錆、付着物が見られます。傷や使用感は多くありますが、壺としての姿を大きく損なうものではなく、古丹波の壺として味わい深い姿を保っています。
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