記事: 古美術の文脈を編む | 入蘆花短編集

古美術の文脈を編む | 入蘆花短編集
入蘆花は、これまで茶と自然、そして古物のあいだにある関係を探り続けてきました。ありがたいことに、この私的で小さな営みに共鳴してくださる方々も、年々少しずつ増えてきているのを感じます。
折に触れ、熱心なお客様と、茶や古美術について思わず話し込むことがあります。そんなとき、自分がどのような目で茶や古美術を見つめてきたのか、あらためて気づかされることが少なくありません。
古いものには、物そのものの枠組みを超えた物語があります。どのような背景を持ち、いかなる時代を渡り、人の手を経てきたのか。実際に古物に触れ、使うことで、その物語は今に続き、ひとつの器、一枚の布、一片の石が、思いがけない美しさを帯びる瞬間があります。それは単なる知識の披瀝ではなく、私自身が茶を通して幾度となく体験してきた、一期一会のひとときです。
入蘆花では「古美術を編む」というコンセプトのもと、ひとつひとつのテーマを短いエッセイとして綴りはじめることにしました。私的で偏った見方かもしれませんが、ほんのひととき、お楽しみください。
古美術の文脈を編む | 入蘆花短編集
李朝
ゆらぎや余白を寛容する李朝の器物は、五百年前に存在した精神の結晶です。心のあり方が、どのように造形に繋がっていったのか、その背景を掘り下げてみました。
> Explore
縄文土器
自然と人の関わり、炎の綾、土の記憶を辿りました。縄目文、渦巻、突帯、火焔など、縄文土器にみられる爆発的な造形力は、原初のラグジュアリーと呼べるかもしれません。
> Explore
弥生土器
海を超えて混じり合う激動の時代。稲作の胎動とともに現れた弥生土器は、生活の中で形状を発明していきます。最古の生活工芸ともいえる存在です。
> Explore
白デルフト
絵付けのキャンバスとして生まれた、ヨーグルトのように滑らかな白。オランダ旅でまとめたエッセイを再編しました。
> Explore